ずっと音楽に夢中

身も心も解放してくれる素敵な音楽に出会ったら、興奮さめやらぬうちに書きつづります。あれこれ書きますが、結論はすべて「音楽っていいな」です。

アヴィーチーの「トゥルー」は何を狙って作られたのか?

4月20日、DJ、音楽プロデューサーのAvicii(アヴィーチー)が28歳の若さで亡くなりました。
 
カルヴィン・ハリスやマドンナらポピュラー音楽界の著名人から追悼のコメントが出されましたが、この訃報によってアヴィーチーの存在を知った人も少なくないのでは。
 
アヴィーチーは世界的な人気DJで、最盛期には年収20億以上を稼いでいたとされています。
2014年サッカーFIFAワールドカップ・ブラジル大会のオフィシャル・アンセム「Dar Um Jeito (We Will Find A Way) 」を手がけたことでも話題になりました。
来日公演を3度キャンセルし、ようやく日本を訪れた2016年にはDJ活動からの引退を発表しています。
2013年リリース(日本で2014年リリース)のデビューアルバム「トゥルー」は、世界70ヶ国のiTunes音楽チャートで1位を獲得、世界各国でプラチナディスクに認定されました。
今回はその代表作「トゥルー」を紹介します。
 
このアルバムのオープニングを飾る「Wake Me Up」が2013年のウルトラ・ミュージック・フェスティバル(UMF)で公開されると、賛否両論が巻き起こりました。
 
「Wake Me Up」は、EDMだと思って聴いた人を拍子抜けさせました。
まず冒頭からアコースティックギターがかき鳴らされます。そのまま弾き語り調で歌メロが展開し、1分を過ぎたあたりからようやく4つ打ちのキックが入ってダンスミュージック化していく…という仕掛けになっています。
 

www.youtube.com

 

アルバム全体を通じてこうしたトーンが貫かれているので、ギラギラしたEDMを求めてこの作品を耳にした人は困惑するでしょう。
ブルーグラス、ブルース、フォークといったアメリカ的な泥臭い音楽の要素が満載。というか、予備知識なしに聴いたらアメリカのコンテンポラリーフォークにしか聞こえないかもしれません。
 
EDMでアコースティックギターの音がサンプリングに使用されること自体は珍しくもなんともないことです。
けれども「トゥルー」には、アコースティックの音がメインなのか、エレクトロニックダンスビートがメインなのかわからない楽曲が収録されています。
アコースティックの上にEDMが乗っかっているという逆転現象が起こっているようにも感じられます。
つまりは本体がどっちなのか判別しづらい。
 
アヴィーチーはメインをどっちかに絞ることに失敗したのでしょうか?
そうではなく、私はあえてそれを狙ったのだと考えます。
 
アヴィーチーは「トゥルー」をEDMファンだけでなく、ポップスファンにも親しまれる作品にしようとしたのではないでしょうか。そのために、両者が同時に入ってこられるよう入口を2つ並べて開けておこうとした。メインがどちらとも取れる音になっているのはそのせいではないでしょうか。
 
ポップスファンにEDMを聴かせるためにはポップスの入口が必要、EDMファンにポップスを聴かせるためにはEDMの入口が必要。どちらがメインかわからないあいまいさは、そうした意図的な「設計」だったのだと考えられます。
アヴィーチーが「トゥルー」で狙ったのは、目新しさではなく親しみやすさだったのでは。
 
「トゥルー」が全編、耳なじみのよい楽曲ばかりなのは、「普遍的なポップス」にしたいというアヴィーチーの願いが込められているからではないでしょうか。


True + True : Avicii By Avicii (2CD)


【輸入盤】True: Avicii By Avicii [ Avicii ]