ずっと音楽に夢中

身も心も解放してくれる素敵な音楽に出会ったら、興奮さめやらぬうちに書きつづります。あれこれ書きますが、結論はすべて「音楽っていいな」です。

SOLEIL 1stアルバムは渋谷系を通り越した「奇跡」のはつらつさ

佐藤清喜、カジヒデキ高浪慶太郎、白根賢一、かせきさいだぁ
SOLEILの1stアルバム「My Name is SOLEIL」に名を連ねた作家陣です。
渋谷系」の人たちばかりですね。
このメンバーが集まったなら確実にそれっぽい音になるだろうと予断があったんですが、実際に耳にしてみると違っていました。これは渋谷系じゃない。
そもそも中心メンバーのサリー久保田と中森泰弘渋谷系界隈の人だったし、収録曲も渋谷系になっているはずなのに、それいゆ(グループ名はSOLEIL、ボーカルは「それいゆ」)のボーカルがあまりにもはつらつとしていて、渋谷系の枠に収まっていません。
少年・少女的なやんちゃさを感じさせたとしても、どこかで背のびをしているのが渋谷系の基本トーンだとすれば、それいゆはここでそんな大人ぶろうとする意志を示していません。
ただ、等身大の自分を見せているのかといえばそうでもない。
逆に実年齢より幼ない女の子を演じているように感じられます。
大人ぶっているのでなく、子供ぶっている。
全編を通して、そんなスタンスが貫かれています。
このスタンスは一体何なんでしょうか?

よく聴くと、アルバムの随所にその答えが散らばっていました。
収録曲には、あるマンガ作品が埋め込まれています。
「さよなら14才」は「14才」、「MARINE I LOVE YOU」は「わたしは真悟」。
そう、どちらも楳図かずおの代表作です。
歌詞が「わたしは真悟」からの引用でできている「MARINE I LOVE YOU」のタイトルは、作品のヒロイン山本真鈴(まりん)からつけられています。
真鈴は主人公の悟とともに奇跡を起こす子供です。
もうお気づきですね?
この楽曲でそれいゆが演じているのは、まりんです。
さらに、アルバム後半に「さよなら14才」が配置されていることから、全編に渡ってそれいゆはまりんを主演したとも推測できます。
音から実年齢より幼ない女の子を感じるのは、そうした意識によるのではないでしょうか。

また、アルバムにはビートルズネタも満載です。
近田春夫が書いた「姫林檎 GO GO!」は、「BAD BOY」「Dizzy Miss Lizzy」「Please Please Me」といったビートルズのモチーフが散りばめられていて、コミカルな色あいが強く出ています。
近田春夫楳図かずおと楽曲制作のタッグを組んだこともあり、これまた楳図つながりの人選かもしれません。

渋谷系になってしまえ」と挑戦してくる楽曲群をそれいゆは身軽にかわして、最後までまりんを演じ通しました。
このアルバムでは、渋谷系のキャストで固めたのに渋谷系を通り越した音に仕上がる、という「奇跡」が起こっています。


My Name is SOLEIL